MitraClip:僧帽弁閉鎖不全症に対する侵襲性の低い(カテーテルを用いた)新治療法を誕生させる

Abbott社は本日、ファースト・イン・クラス( first-in-class)の(カテーテルによる)MitraClip治療のFDA承認を取得したことを発表しました。米国ですぐに発売する予定であり、僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation;MR)患者にとっての画期的な治療選択肢を提供します。 MitraClip機器は症候性および退行性の重度MR患者のうち僧帽弁手術(mitral valve surgery)が必要になりそうな者に対して使用されます。退行性MRは、心臓の僧帽弁の解剖学的欠陥(anatomic defect )によって生じるタイプのMRです。僧帽弁手術が必要になるかどうかに関しては、心臓外科チームが手術リスク因子をもとに臨床判断を行います。

 

MRは生命を脅かす進行性疾患であり、僧帽弁の異常が心臓内の血液逆流を生じさせ、最悪の場合は死をもたらします。同疾患では不整脈脳卒中心不全のリスクが高まります。僧帽弁逆流はよく見られる所見であり、400万人以上(75歳以上の10人に1人)のアメリカ人が呈しています。開心(Open heart )を要する僧帽弁手術が標準的な治療法であり、多くの患者が侵襲的処置(invasive procedure)を受けることになります。同疾患に対する薬物療法は、症状管理が精一杯であり、病気の進行を止めることができないのです。

 

「心臓外科医として、我々は技術的に処置できる重度の僧帽弁閉鎖不全症患者に対応していますが、彼らは僧帽弁手術を乗り越えるには体があまりにも衰弱しすぎています。MitraClipシステムがあれば、心臓外科チームはカテーテルを用いた、侵襲性の低い治療選択肢を有することになり、これにより、手術に耐えることができない患者が元の生活を取り戻せるようになります。」と、ダラスのCardiovascular Surgery at Baylor Health Care System のMichael Mack氏は話しています。

 

MitraClip 装置を用いた複数の臨床試験では、良好な安全性プロファイル、つまり僧帽弁逆流の減少と症状の改善、心不全による入院率の低下が確認されました。30か国以上で11,000人以上の患者が、MitraClip機器での治療を受けました。

 

「極度の疲労感や息切れ、脳卒中心不全、および死亡リスクの増加をもたらす、重度かつ進行性の僧帽弁閉鎖不全症に対しては、MitraClipが非常に有効です。2003年にまで遡る臨床データにより、僧帽弁手術を受けられない患者に対してはMitraClipが安全かつ効果的な治療法であり、実際に生活の質の顕著な改善をもたらし、それを維持し続けることがわかりました。私の患者の多くは治療後すぐに退院できました。」と、Abott社の上級副社長Chuck Foltzは述べています。