カドヘリン-11を阻害する新治療法:乳癌、脳腫瘍、関節リウマチに有効

関節リウマチ( rheumatoid arthritis )と特定の癌という二つの全く異なる疾患では、細胞同士の付着を促進させる「のり(接着剤)」分子が過剰発現しています。この分子を標的にすれば両疾患を治療できるかもしれないことが、新たな試験により明らかになりました。

 

また、ジョージタウン大学医学部の研究チームは接着性タンパク質「カドヘリン-11(cadherin-11)」を標的とする医薬品候補も発見しました。候補物質のうちの一つはすでに治験薬としてその有効性が調査されているところです。

 

Georgetown Lombardi Comprehensive Cancer Centerで分子がん専門医(molecular oncologist )を務めるStephen Byersは、「カドヘリン-11が癌の進行や関節リウマチにどれくらい関与しているかは十分に分かっていませんが、今回の発見はすぐに臨床応用できるようになるでしょう」と述べています。

 

今回の試験結果は医学誌『Oncotarget』に論文として掲載される予定です。

<strong>乳癌と脳腫瘍ではカドヘリン-11が過剰発現</strong>

接着性分子は乳癌の約15%で過剰発現しており、さらに脳の接着様支持組織( glue-like supportive tissue of the brain)で形成される膠芽腫(glioblastoma)ではそのほとんどで過剰発現していることがわかりました。

 

Bayer教授は次のように述べています。

 

「これらの癌のほとんどで見られる共通の特徴は、カドヘリン-11予後不良(poor prognosis)、そして有効な治療法がないということです。カドヘリン-11の発現は腫瘍の増殖に必要なので、これを阻害できれば、その増殖を止めることができます。これは本当にすごいことです。実際に、細胞株と動物を用いた実験では成功しています。」

 

Byers教授はこの接着分子が膵臓がんの発生にも関与していると考えています。